本調査では各種広告媒体の効果と生活者の接触に関する時系列変化について、OOH(Out of Home:屋外広告)を中心に分析を行いました。
広告効果に関する様々な調査結果が公表されネット上に掲載されていますが、その多くは大企業を主眼とし、大きな広告予算を持っていることを前提としたものです。なぜなら、そうした調査結果を公表する大手広告代理店や調査会社の主要クライアントが大企業だからです。
東電タウンプランニング株式会社では、生活者や事業者に対する市場調査を定期的に実施しており、この度5年ぶりに調査を実施しました。広告予算に多くを割けない中小企業・個人事業主の皆さまにぜひ見ていただきたい、大変興味深い結果が得られましたので、その調査結果を公表するとともに、電柱広告のポテンシャルについて考察します。
目次
<調査概要>
| 調査目的 | 各種広告媒体の効果や利用の実態を時系列変化とともに把握する |
|---|---|
| 調査手法 | インターネットアンケート調査 |
| 調査対象 | 生活者:関東在住の20歳以上男女 事業者:関東在住の広告・宣伝関与者で20歳以上男女 |
| 実施時期 | 4~6年ごとに実施しており、直近では2025年9月に実施 |
1. サマリー
まずは調査結果のサマリー(要約)をお知らせします。
広告にリアル回帰の動きあり
- 5年前と比べ、事業者の広告利用や利用意向は全広告媒体的に減退
- 一方、生活者の広告接触はリアル系OOHで大きく増加、とくに女性30歳代、男性40歳代で顕著
知られざる電柱広告のポテンシャル
- 生活者の電柱広告接触が5年前から大きく増加しているが、事業者の利用意向は追随せず横這い。
- 電柱広告に対し、20代Z世代が他世代とは異なるポジティブな反応
- 「定期点検を実施しておりいつもきれい」は知られていないが魅力度はトップ
2. 調査結果・ファインディング
調査結果のポイントを「広告全般」と「電柱広告」に分けてお知らせします。解釈や考察は追って行うため、ここではファインディング(客観的な発見)ベースで端的にお知らせします。
・広告全般
①事業者の広告利用/利用意向 2025調査と2020調査の差
- 事業者の広告利用意向は多くの媒体が大幅な減退傾向。広告全般的に効果に対する不信感が高まっている状況。
- リスティング広告は「利用」は増えているが「利用意向」は減っており、致し方なく利用している人が増えている状況がうかがえる
- 27媒体中で利用意向がプラスなのは「メール広告」「電柱広告」「店舗メニュー等映像広告」の3媒体のみ。

②生活者の広告接触/注意/行動喚起 2025調査と2020調査の差
- 生活者の広告接触にリアル回帰の動き。とくに「消火栓広告」「電柱広告」「野立て看板」「屋外壁面・屋上広告」などリアル系OOHの伸びが大きい。
- これら媒体は性・年代あらゆる属性で接触が増加しているが、とくに女性30歳代、男性40歳代の増加傾向が顕著。


・電柱広告
③生活者の広告接触 / 事業者の広告利用意向 対比
- 電柱広告は生活者の接触度で27広告中13位、事業者の利用意向は23位。生活者と事業者のランク差が2020調査と比べて大幅に拡大。
- 2020年調査と比較すると、生活者の接触の大幅伸長に事業者の利用意向が追随せず(生活者:17.6%→30.3%、事業者:12.6%→12.7%)。
[ 2025調査 ]

[ 2020調査 ]

④生活者が考える電柱広告のメリット
- 20代Z世代の電柱広告に対する印象が特徴的。とくに「新しいお店を知ることがある」「景観や街並みに調和している」「電柱広告を出すお店・医院・施設はがんばっている印象がある」が相対的に高い。

⑤事業者における電柱広告の特徴認知と特徴魅力度
- 「メンテ費用不要で定期点検実施のためいつもきれい」の特徴認知は下から2番目に低いが、魅力度はトップ。

3. 考察
①事業者の広告に対する不信感の高まり
広告はマス4媒体の時代からインターネット広告の時代へと移り変わってきました。不特定多数に一方通行なコミュニケーションを行うマス広告に対し、インターネット広告は特定のターゲットだけに広告を出すことができ、双方向のコミュニケーションが可能。しかも正確に計測ができコストが劇的に低下するため、2000年代初めの黎明期では万能な「魔法の杖」のように扱われていました。
現在、その高揚感はどのようになっているでしょうか?
事業者から見ると、ボットによる無効なクリックやインプレッションに対する費用発生、意図しない不適切なサイトへの表示によりブランドイメージが低下するなど、インターネット広告のエコシステム自体が抱えるブラックボックス化による「不透明さ」や「質の低下」が大きな懸念となっています。
生活者から見ると、嘘やフェイクの蔓延、勝手に割り込んでくる不躾なプッシュ広告、過剰なターゲティングによるプライバシーへの警戒感などにより、広告を「情報」ではなく「ノイズ」や「監視」と捉えるようになっています。生成AIの発達により真偽不明のコンテンツが増え、インターネット広告に対する警戒感がさらに高まりました。
一方、テレビを筆頭としたマス広告の媒体としての力の低下は歴然。とくにデジタルネイティブであるZ世代以降の若者世代はそもそもマス媒体に接触しなくなっています。資金力のある大企業でさえ、マス媒体への回帰は限定的です。
事業者の広告担当者も、家に帰れば一生活者。広告に対する不信感や警戒感の高まりをひしひしと感じており、「認知拡大」というメリットは認識しつつも、「一歩間違えれば嫌われるリスクがあるもの」というネガティブな面も感じているはず。
他に良い選択肢も見つからず使い続けているためインターネット広告を中心に市場規模は未だ拡大傾向にありますが、広告効果に対する期待や信頼のピークは過ぎているのではないでしょうか。それが今回の調査結果にも如実に表れたのだと考えています。
②生活者の広告接触にリアル回帰の動き
そのような中、今回の調査結果において生活者の広告接触にリアル回帰の動きがあることを確認しました。とくに「消火栓広告」「電柱広告」「野立て看板」「屋外壁面・屋上広告」などリアル系OOHの伸びが大きくなっています。これらは性・年代あらゆる属性で接触が増加し、とくに女性30歳代、男性40歳代の増加傾向が顕著でした。
考えられる要因を3つピックアップします。
i. 行動面での要因:自宅周辺活動の増加
コロナ禍以降、テレワークや自宅周辺での活動が定着しました(※)。近隣商圏への依存度上昇や自宅周辺・街中での滞在時間増加により、リアル系OOHへの接触が増加したと考えられます。
※参考情報・出典元:国土交通省「新型コロナ感染症の影響下における生活行動調査(第二弾)
https://www.mlit.go.jp/report/press/toshi07_hh_000195.html
ii. 心理面での要因:能動的関与の影響
マス広告やインターネット広告のように勝手に割り込んでくる強制視聴型ではない待ち受け型のOOHは、生活者が自分で見つけた場合は心理的なメカニズムにより意識や記憶に残りやすくなります。
人は自分自身が関わった情報を「自分にとって大事なもの」と認識する性質があり(自己関連付け効果)、例え偶然だったとしても自ら見つけたものや行動したものは良いものであるはずと行動と意識の一貫性を保とうとする力が働きます(認知的不協和の解消)。
このようなメカニズムにより生活者が自ら見つけた、すなわち能動的に関与した広告は、記銘(覚えやすさ)と想起(思い出しやすさ)が高まり、好意や信頼を高める傾向にあります。
iii. 相対的要因:他媒体の接触減少
テレビや雑誌などマス広告は全世代で接触が減少傾向で、Z世代以降の若者はその傾向が顕著です。
インターネット広告の市場規模は増加傾向なので接触そのものは増えているでしょう。しかしながら、ノイズや監視と捉えるようになってきているため広告をスキップしようとします。仮にスキップできなかったとしても、意識としてはブロックしている。つまり、例え目では見ていたとしても脳が認識していない「脳内ブロック」の状態です。
こうした他媒体の接触減少や意識低下により、OOH(とくにリアル系広告)が生活者の意識化において相対的に際立っている可能性があります。とくにマス広告に接触しない若者にとっては、強制視聴型ではなく自然と目(と脳)に入ってくる広告はかなり限られているのかもしれません。
③ 電柱広告に関する「生活者の接触」と「事業者の利用意向」の変化
ここまではOOHを中心とした広告全般の話でしたが、ここからは電柱広告に関する調査結果を中心に考察を行います。
まず着目したいのが、電柱広告に関する「生活者の接触」と「事業者の利用意向」の変化です。2020年と2025年の調査で生活者の電柱広告接触計(「よく接触する」+「ときどき接触する」の計)が2020年は17.6%だったのが2025年は30.3%となり+12.7%と大きく躍進したのに対し、事業者の電柱広告利用意向は+0.1%と横這いでした。
生活者の電柱広告等リアル系OOHの広告接触が伸びている要因についてはすでに考察した通り「行動要因:自宅周辺活動の増加」「心理要因:能動的関与の影響」「相対要因:他媒体の接触減少」の3つが考えられます。それではなぜ事業者の利用意向がこの生活者の変化に追随しないのでしょうか?
その最大の要因は我々電柱広告事業者やリアル系OOH事業者の努力不足です。こうした生活者の変化をいち早く捉え市場にPRすることで、事業者が抱く電柱広告等リアル系OOHの固定観念を変えていかなければなりません。本レポートの公表もその一環ですし、広告媒体の垣根を越えて、消火栓広告や野立て看板事業者ともタッグを組んで理解活動を行っていく必要性を感じています。
本レポートを見ている事業者の皆さまにぜひお伝えしたいのは、電柱広告等リアル系OOHへの広告掲載は今がチャンスだということです。生活者広告接触と事業者広告利用意向のギャップは時間とともに解消されていくことになるでしょう。ただし今現在は、多くの事業者はまだこのことに気づいていません。営業的なことを申し上げることになり恐縮ですが、広告掲載可能な場所(空き媒体)は効果の高い場所から埋まっていきます。お問い合わせや資料ダウンロードは以下から可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
電柱広告特設ページ④Z世代の広告意識と電柱広告の効果
今回の調査でもっとも意外だったのが、20代Z世代は他の年代と比べて電柱広告に対する印象が特徴的でポジティブであったことです。とくに「新しいお店を知ることがある」「景観や街並みに調和している」「電柱広告を出すお店・医院・施設はがんばっている印象がある」が相対的に高い調査結果となりました。
解像度を上げるためにも、この20代Z世代にフォーカスして論を進めます。まずはメディアや広告に対する価値観を中心に各年代・世代の特徴を確認してみましょう。
<世代別の特徴と広告に対する価値観>
※年齢は2025年時点
1965-1980年生まれ(45-60才):X世代
- アナログからデジタルへの移行期を経験。テレビ、新聞、雑誌などの伝統的マスメディアへの信頼度が比較的高い。
- 広告は「情報のソース」。知名度や権威性を信頼の指標にする傾向があり、マスメディアや有名ブランドは信頼の証。
1981-1995年生まれ(30-44才):Y世代
- PCや携帯電話の普及とともに育ち、デジタルネイティブの先駆け的存在。10代でWeb検索が定着し、大人になるとFacebookやInstagramが普及。
- 広告は「比較の対象」。自身のライフスタイルに馴染むかどうかを重視。口コミやレビューを参考にし、企業からの一方的な宣伝には慎重。
1996-2012年生まれ(13-29才):Z世代
- 物心ついた時からSNSがあったデジタルネイティブ世代。多様性や環境問題への理解と同時に個性・らしさを尊重。モノの飽和が所有から利用への変化を促し体験・共感が重要に。情報の過剰供給によりタイパを重視する。
- 広告は「邪魔なもの」。物理的あるいは意識上でスキップするが、推しが紹介するものや価値観の合うブランドには強い購買意欲を示す。
2013-2020年代生まれ(12才以下):α世代
- 言葉を覚える前からスマホやiPadに触れ、AIは物心ついた時からそばにいるパートナー。デジタルは「あちら側」ではなく「今ここにある」もの。
- 広告は「体験の一部」。デジタル画面は見るものではなく触れて動かすもの(環境)。没入・参加・共創を求め、楽しさや学びなど実利が重要。
※今回の調査対象は生活者・事業者ともに20歳以上のためα世代は含まれない。
Z世代は広告を「邪魔なもの」と捉えますが、それは自分が見て楽しんでいるコンテンツに割り込んできてタイパ(タイムパフォーマンス)を悪化させるから。インターネット上でのプッシュ広告が邪魔ものの典型で、前述の通り、広告スキップするか脳内ブロックします。
では、大きな分類としては同じ広告ではあるのに、なぜリアル系OOHにはポジティブな反応が見られるのでしょうか。考えられる背景・要因を考えてみます。
i. 新しい発見が多い広告
「電柱広告を見て、新しいお店を知ることがある」と回答する人の割合は、20代Z世代が最も高く、他の世代とは明らかに異なる反応でした。とくにX世代以前(45歳以上)の方からすると意外な反応でしょう。
これはZ世代がデジタルネイティブであることに起因しています。デジタル空間ではフィルターバブルとエコーチェンバーにより自分の考えや好みに似た情報が、極端に言えば、好みの情報“だけ”が集まってきます。一方、リアル系OOHにはフィルターバブルもエコーチェンバーもありません。街を歩いていると、ネットやデジタル空間では出会うことができないセレンディピティがバブルを突き破ってやってくる、ということなのかもしれません。
- フィルターバブルとは
アルゴリズムによって作られる情報の壁。過去の閲覧履歴などをもとに興味のない情報がフィルター(アルゴリズム)で取り除かれバブルに閉じ込められたように偏った情報だけに囲まれる現象。本人の意思に関係なく、気づかないうちに偏っていくことが多い。
- エコーチェンバーとは
コミュニティ(人脈)によって起きる情報の増幅。SNSなどで自分と似た考えを持つ人をフォローしたりコミュニティに参加したりして発信・交流すると、まるで残響室(エコーチェンバー)で自分の声が返ってくるよに「その通り!」「いいね」と同意見だけが返ってくる現象。
- セレンディピティとは
幸運な偶然。思いがけない発見をする能力。探していたものとは別の価値あるものを見つけたり、偶然から大きなひらめきを得たりする現象や力。
また、Z世代はデジタルネイティブだからこそ、身体的な感覚を伴うリアルな手触りや質感に好ましい価値を感じる傾向があります。デジタルはコピー可能ですが、リアルは劣化や個体差を考えれば唯一無二です。材質の質感だけでなく、使い込まれた看板の錆や印刷のかすれすら魅力となり得ます。さらに、看板そのものだけなく背景も含めた視覚情報、指に触れる触覚、日光や風が肌にあたる感じ、その場の匂いや温度・・・、情報量が圧倒的に多いリアル体験は脳に深く刻み込まれます。X世代から見れば、電柱広告はよく言えば伝統的、悪く言えば昔からある古臭くて垢ぬけないものですが、Z世代からすると、確立した世界観(個性)をもっており、一周回って逆に新鮮。洗練しすぎていないリアルな手触り感あるポジティブな体験として捉えられているのかもしれません(※)。
※参考情報・出典元: SHIBUYA109 lab.変遷レポート レトロカルチャー編
https://www.shibuya109.co.jp/shibuya109lab/reports/250128/
ただし、重要な前提があります。セレンディピティもリアルな質感も「電柱広告に気づいてこそ」です。気づかなければ、単なる風景の一部として通り過ぎてしまうだけです。逆に言えば、気づいてもらえさえすれば、効果が高い広告となり得ます。先述の能動的関与による「自己関連付け効果」や「認知的不協和の解消」に加え、Z世代に関しては「セレンディピティ」や「リアルな質感」も加わり、電柱広告はとても好ましい広告と受け止められる可能性が高いということです。気づいてもらえる仕掛けや仕組みを用意できるか、それが電柱広告を効果的に活用するポイントとなりそうです。
ii. 「景観・街並みとの調和」と「がんばっている印象」
「電柱広告は景観や街並みに調和していると思う」に当てはまると回答した人の割合は、50-60歳代が低かったのに対しZ世代は逆に高く、世代の格差がかなり大きくなりました。
あまり知られていませんが、電柱広告には様々な規制やルールがあります。誘導案内(道案内)が大前提で、公序良俗に反しないことはもちろんのこと、景観や街並みとの調和や安全面を考慮した規制、電柱の本来機能(電力等の送配電)を損なわないためのルールなどがあり、しかもこれらが自治体によって微妙に異なります。とくに東電タウンプランニングは電柱広告の管理・媒体主として国内最大手ということもあり、業界を率先すべく自主規制を設け、景観や街並みとの調和にとくに力を入れています。
こうした取り組みにより全世代で同じような反応が出るのであればわかりますが、世代によって受け止めが異なるのはなぜでしょう。何が「良い、美しい」のか、何をもって「調和」とするのか、その価値観が異なることが考えらえます。
まず50-60代の価値観ですが、公共の場は「公的で整然としているべき」で、景観をトータルデザイン(全体美)で見る傾向があります。考え方はステレオタイプ(画一的)で個別の事情よりも全体を、今より理想や将来を、ありのままや実利よりも形式を重んじます。全体・理想・形式から見て「駄目なもの(例外やノイズ)」は極力排除する減点方式の価値観です。電柱もこの「駄目なもの」に含まれるでしょう。そのようにして仕上がる景観は、整然と洗練された都市のようなイメージとなります。
Z世代は小中学校での景観やまちづくりに関する学習の中で、今自分が住んでいる街全体を大きな教室と位置づけ、地域との交流や体験を通じた授業などを通じて地域愛を育む教育が行われています。SDGs教育の影響もあり持続可能な社会への関心も高く、理想的な(見た目の)綺麗さよりも地域が機能している実利を重視するサステナブルな思想が定着しています。しかも多様性を受容し、正解は一つではなく、むしろ街ごとの個性やらしさを好ましいものとして捉えます。何かを捨てるのではなく、あれもこれも取り入れたうえで最適解を見出そうとする考え方であり、現状を受け入れて良いところを見出し加点していく足し算の価値観です。その結果としてうまれる「調和された景観」は、当然、整然と洗練された都市とは異なる景観となります。
こうした価値観の違いに加え、やはりここでもデジタルネイティブであるか否かが大きく影響します。Z世代から見れば、悪意やフェイクが蔓延し公序良俗の面でも乱れていて不躾に割り込んでくるネット広告と比べれば、真面目で間違いがなく静かにそこにいて必要な時だけ役立つ電柱広告は「駄目なもの」には見えないのです。
50-60代はリアル社会をベースとして、全体・理想・形式から見たときに電柱や電線を「物理的なノイズ」として嫌うのに対し、Z世代はリアルとデジタルの両方を見たうえで広告としての「情報のノイズ」を嫌っており、多様性を認めるため見た目や物理のノイズに寛容。これが「電柱広告が景観や街並みに調和しているか」の評価が異なる理由として考えられます。
「電柱広告を出すお店・医院・施設はがんばっている印象がある」がZ世代で相対的に高い結果が出た理由についても、同様の背景が影響しています。邪魔なものであるインターネット広告との対比で、電柱広告は真面目で間違いがなく静かにそこにいて必要な時だけ役立つもの。まず前提として、悪いイメージがありません。
しかも、製作・配信がお手軽・安易に実行可能なデジタル媒体と違い、リアルな広告です。規制やルールのチェックも含めた多くの工程を経てデザインが決まり、工場で印刷・製造され、現場で一つ一つ取り付け作業を行います。そうした手間をかけて景観や街並みとも調和する電柱広告を出しているお店・医院・施設は「がんばっている」という印象になるのでしょう。広告面の一部に災害時の避難誘導などを表示するなどして地域貢献すればなおさらです。
⑤ 知られざる「定期点検実施」の魅力
事業者に対し、電柱広告の12の特徴を挙げて認知(知っているか)を確認したところ「メンテ費用不要で定期点検実施のためいつもきれい」は下から2番目でした。ところが魅力的かどうかを確認したところ一気にトップに躍進。電柱広告の知られざる魅力と言えそうです。
電柱広告は過酷な屋外での掲載に耐えられるよう特殊な印刷や加工を行っていますが、それでもやはり長期間となれば劣化は進みます。東電タウンプランニングでは屋外広告物条例で定められた法定点検時(通常3年ごと)の措置とは別に、劣化が進んだもの(平均5年程度)については順次新しい看板に付け替えています。付け替えに伴う追加費用はいただきません。企業努力でここまで行っているのはリアル系OOH業界の中でかなり珍しいことと思われますが、こうした景観や街並みへの配慮と努力が先ほどの生活者からの評価「電柱広告は景観や街並みに調和していると思う」や、手間をかけて「がんばっている」という印象につながっているのだと思います。
そして、こうした地道な取り組みを東電タウンプランニングのお客さまとなる事業者の方から「魅力的」と見ていただけるのは大変ありがたいこと。残念ながら認知度が低いようなのでPRに努めたいと思います。
電柱広告の特徴や料金、デザインプラン集について、ぜひ以下よりご覧いただければ幸いです。
4. 本広告効果調査の特徴と概要
①本調査の特徴
(ア) 対象広告媒体の多さ
調査対象としている広告媒体の多さが本著の特徴です。とくに、巷にある広告調査はマス広告とネット広告に注目しがちですが、リアル広告に着目している点が本調査最大の特徴。調査対象全27媒体のうちリアル広告だけで実に19媒体。アナログやデジタルの各種交通広告や看板広告だけでなく、DMやポスティング、チラシ・ティッシュ配布に至るまで対象としています。

(イ) 時系列変化
本調査の実施時期は2025年9月ですが、同様の調査を2020年2月、2016年9月にも実施しており、時系列の変化を確認しています。この間、「コロナ渦」「デジタル化」が広告業界に大きな構造変化をもたらしました。
(ウ) 生活者と事業者の比較
広告を掲載する事業者と、広告を見る生活者の両方に調査しています。この両者を同時に調査し比較したからこそ得られた新たな発見がありました。
② 調査概要
<共通>
調査手法
インターネットアンケート調査
調査対象
生活者:1都6県、山梨県、静岡県(富士川以東)在住の20歳以上男女
事業者:上記に加え、自社・自組織の広告・宣伝の決済もしくは企画に携わる人
調査委託先
株式会社サーチライト(全体管理/分析レポート)
株式会社マクロミル(実査)
<2025調査>
実施時期 2025年9月
サンプル数 生活者:890サンプル、事業者:1,000サンプル
対象広告媒体数 27
<2020調査>
実施時期 2020年2月
サンプル数 生活者:1,700サンプル、事業者:2,061サンプル
対象広告媒体数 22
<2016調査>
実施時期 2016年9月
サンプル数 生活者:1,700サンプル、事業者:2,098サンプル
対象広告媒体数 21

【この記事を書いた人】
<氏名>
高橋徹
<所属・役職>
東電タウンプランニング(株)ソリューション推進担当 副部長(マーケティング担当)
<プロフィール>
マーケティング系コンサルティング会社にてデザイン営業や調査業務に従事した後、1995年東京電力入社。営業、広告、販売促進、調査、賠償、事業戦略、DX推進などの業務に従事。2024年9月「電力マーケティング~その本質と未来~(発行:一般社団法人日本電気協会新聞部)https://amzn.asia/d/05sQf1si」を執筆。2025年7月に転籍し電柱広告を中心とした広告事業に携わり、2026年より現職。[2026年7月時点]
