安定的な店舗経営には集客力が欠かせませんが、集客の手法は種類が多いため、選択に迷う方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、店舗集客のコツから具体的なアイデア、成功事例までを詳しく解説します。集客方法を知って現在のやり方を見直し、売上アップにつなげましょう。
店舗集客を成功させる4つのコツ
具体的な店舗集客の方法を見ていく前に、まずは店舗集客を成功に導くコツを押さえておきましょう。
コツ①商圏分析を元に具体的なエリアを設定する
商圏分析とは、集客が見込めるエリアの特徴を分析することです。世帯数や競合店を分析してポスティングやDMの対象地域を絞り込むなど、商圏分析により具体的なターゲットエリアを設定できます。商圏分析を含むこのような手法は、エリアマーケティングと呼ばれます。
エリアマーケティングで期待できる効果
エリアマーケティングの効果により、集客や経営の効率化が期待できます。例えば、狙ったエリアに広告を出稿することで余計な広告費の削減が可能です。また、エリアごとのニーズの変化が読めるようになると、いつ何が売れるのかが事前に分かり、過剰な在庫を抱えずに済みます。
エリアマーケティングに使えるツールの例
- 政府統計の総合窓口(e-Stat):人口統計などを分析し、特定エリアの潜在需要を把握できる
- Googleマップ:ターゲットをマッピングすることで、どのエリアにどのような人が住んでいるかを視覚的に分かりやすくする
- 店舗のポイントカードなどで集めた顧客情報:既に来店している顧客の属性を分析できる
コツ②お店のターゲットを具体的に決める
商圏範囲を決めたら、それを元にお店のターゲット層を決めましょう。ターゲットが曖昧だと施策がぶれるので、より具体的に絞り込むのがコツです。例えば、エリア内に住む人の年齢や年収といった属性を踏まえ、「◯◯に住む一人暮らしの20代女性」など詳細にイメージしましょう。
意思決定者(実際に購入する人)をターゲットにするのがポイント
近所にお住まいのご夫婦が店舗のターゲットの場合、奥様とご主人のどちらが購入の決定者であるのかによってアプローチの手法が変わります。意思決定者を明確にすると、ターゲットにマッチした情報発信や広告アプローチが可能となるのです。
コツ③狙ったターゲットに合わせて施策を考える
店舗の集客方法はさまざまで、どれもメリット・デメリットがあります。ターゲットに合わない集客方法や手段を選択すると、せっかく施策を考えても効果が期待できません。分析したターゲットにマッチする集客方法を選びましょう。
複数の集客手法を組み合わせた施策にする
集客方法は1つに絞らず、複数の方法を組み合わせた施策にしましょう。情報伝達手段が増えることで多くのターゲットへのアプローチが可能となり、新規・既存客が来店する可能性が高まります。ただし、無計画に集客方法を増やすとかえって効率が悪くなることがあります。
コツ④定期的に見直し・改善をおこなう
綿密な戦略を元に始めた店舗集客が成功しても、長続きするとは限りません。環境や顧客層の変化などにより、来店数が落ち込むこともあります。決めたことを頑なに守り通すことよりも変化に対応することが大切なので、集客の施策を定期的に分析して継続や改善を判断しましょう。
新規だけでなくリピーターの集客にも力を入れよう
店舗経営が長い場合、既存客の集客にも力を入れましょう。その理由は、企業経営でよく言われる「2:8の法則」からも説明できます。これは「売上の8割は2割のリピーターによる」という法則で、既存客の優遇で売上を維持し、新規獲得にかかる費用を抑える効果が期待できます。
ターゲットの立場で来店までの流れをシミュレーション
集客手段を見直す際、お客様の立場になって来店するまでのリアルな流れをシミュレーションしてみましょう。例えば、情報発信はうまく行っていても、予約システムが分かりにくいために来店まで至らないなど、お客様の立場で考えると現在の手法の欠点が見えてくることがあります。
POINT
さらに「購買意思決定プロセス」も意識してみよう
購買意思決定プロセスとは、消費者が購入を決定するまでの流れのことです。これを理解することで、ターゲットに対してどのように情報発信して最終的にどうやって購入してもらうのかを戦略的かつ具体的に考えられるようになります。来店までのプロセスよりも、さらに広い視野で集客方法を見直したい時に取り入れてみましょう。 購買意思決定プロセスには複数のモデルがありますが、まずは以下の例でイメージしてみてください。
意思決定プロセス | ターゲットの状況 | プロモーションの例 |
①注目 | 店舗・商品の存在を知る | 認知度を高める広告を出す |
②興味 | 店舗・商品の興味を持つ | 他と差別化を図る方法でアピールする |
③欲求 | 店舗に行きたくなる | 製品の特徴をSNSで具体的にアピールする |
④記憶 | 店舗・商品の存在を覚えている | 複数の媒体で繰返しアピールする |
⑤行動 | 購買行動を起こす | 接客やディスプレイを工夫する |
店舗集客の手法は大きく分けて2つ
店舗集客は大きく分けると、オンラインによる集客とオフラインによる集客の2つです。具体的な店舗集客アイデアをチェックする前に、どのような特徴があるのかを理解しましょう。
手法①オンラインによる店舗集客
まず1つ目は、店舗のホームページやWeb広告、ブログなど、インターネットを介した店舗集客の方法です。プログラム上に集められた属性をターゲティングしたり、数値で施策を分析したりすることで、見てもらえるか分からない看板やチラシよりも効率よく店舗集客ができます。
オンライン集客の成功は知識の有無に左右される
オンライン集客は、手法の流行り廃りや多様化、検索エンジンのアルゴリズムのアップデートなどで常に変化しており、成功するには集客の基本とともに最新の情報を知る必要があります。そのため、自信がない場合は、集客の専門家やコンサルタントを請け負う企業への相談もおすすめです。
手法②オフラインによる店舗集客
2つ目は、折込チラシや看板、電柱広告などのインターネットを介さない集客手法です。シニア世代の中には、インターネットを使い慣れていない方も多くいます。オフラインによる店舗集客はこのようなターゲットへのアプローチが可能で、業種によってはオンラインより適している場合があります。
ターゲットに合わせてオンライン&オフラインを使い分けよう
オンライン集客とオフライン集客は、ターゲット層に合わせた使い分けや組み合わせが大切です。例えば、若年層の顧客を開拓する場合は最初からオンラインで集客をすると良いですが、シニア層の場合は最初のアプローチを新聞広告にし、そこからホームページへ誘導するという方法もあります。
店舗集客の具体的な4つのアイデア
ここからは、店舗集客の具体的なアイデアを紹介していきます。オンラインの店舗集客2つ、オフラインの店舗集客2つの合計4つのアイデアです。各アイデアがどのようなものなのかイメージできるように紹介しますので、さらに詳しいことが知りたい方はリサーチをしてみてください。
【オンライン】Webを活用した店舗集客のアイデア
Webを活用した店舗集客には、店舗のホームページ、ブログやコラムなどのオウンドメディア、口コミや店舗情報などが掲載されるポータルサイト、Web広告、Google検索やGoogleマップに表示されるGoogleビジネスプロフィールの作成などの手段があります。
Webを使った集客方法の例
- ホームページ:自由に情報発信できるが、検索結果の上位表示を狙うにはSEOの知識が必要
- オウンドメディア:商品・サービス・企業の背景や詳細を紹介することでファンを増やせる
- ポータルサイト:大型メディアへの掲載で店舗の認知拡大や口コミ獲得につながる
- Web広告:広告費を支払い、店舗のホームページやブログを上位表示してもらう
- Googleビジネスプロフィール:店舗名・住所・営業時間・電話番号などをGoogleマップなどに表示できる
【オンライン】SNSを活用した店舗集客のアイデア
SNSを活用した店舗集客には、LINE、Twitter、Instagram、Facebook、YouTube、TikTokといった方法があります。それぞれ利用者層や特徴が異なるため、店舗のターゲットに合わせて活用しましょう。
SNSを使った集客方法の例
- LINE:日本で最も利用されるプラットフォームのため、幅広いアプローチが可能。
- Twitter:高い情報拡散力とリアルな声で口コミ効果に期待できる。
- Instagram:動画や投稿で視覚的にアプローチが可能。ショッピング機能がついていて、購入導線もスムーズ。
- Web広告:広告費を支払い、店舗のホームページやブログを上位表示してもらう
- Facebook:実名のアカウントにアプローチ可能で、企業経営者などにも訴求可能。
- Youtube:全年齢層に幅広い情報を届けることが可能でGoogleでの検索結果表示も期待できる。
- Tiktok:若者向けを中心に低コストで拡散力の高い訴求が可能。
総務省「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書」
【オフライン】紙媒体を活用した店舗集客のアイデア
紙媒体の店舗集客には、新聞広告、折込チラシ、ポスティングなどがあります。新聞広告は小さめより大きいサイズのほうが効果を期待できますが、そうなると高額になりがちです。チラシは安価でも可能ですが、見てもらうためにデザインの工夫や配布エリアの絞り込みが必要となります。
【オフライン】お店や街頭でおこなう店舗集客のアイデア
店舗ではクーポンやポイントカードの発行、街頭では看板や電柱広告といった集客方法があります。店舗でのポイントカード発行は、新規顧客というよりもリピーター向けです。イベントやクーポン、看板、電柱広告は、新規顧客とリピーターの両方へのアピールになります。
業種別に見るおすすめの店舗集客
最後に、各業種におすすめの店舗集客方法を見ていきましょう。これまでに紹介してきた集客アイデアが、どのようなビジネスの集客に向いているかを事例とともにまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
飲食店の店舗集客
飲食店の店舗集客では、新規顧客が店舗の検索に使うGoolgeマップやポータルサイトに力を入れることが基本です。その上で、競合する他の企業や店舗と差別化するために、お店ならではの料理やサービスをInstagramやLINEで発信しましょう。
飲食店の店舗集客の組み合わせ例
- 【Web】Googleビジネスプロフィールで基本情報を伝え、ポータルサイトで認知度を高める
- 【SNS】Instagramでビジュアル訴求し、LINEのクーポン発行でリピーターを増やす
- 【紙媒体】近隣エリアにクーポン付きチラシをポスティングする
- 【店舗内・街頭】ポイントカード発行や街頭では野立看板や電柱看板でアピールする
SNSを活用したカラオケ店の成功事例
全国展開する某カラオケ店は深夜の来客数が課題でしたが、LINEを活用してクーポンを配信したところ深夜帯サービスの認知度アップにつながったそうです。次第にクーポンなしでも深夜帯のリピーターが増え、月間来店数が昨年対比160%までになりました。
小売店(食品・日用品)の店舗集客
食品や雑貨を扱う業種の場合、その店舗に行く必要性やお店ならではの魅力を伝え、他の店舗と差別化を図ることが大切です。また、気軽に何度も来店してもらうために、マップで店舗情報を伝えてSNS・チラシでお得情報を発信しましょう。
小売店(食品・日用品)の店舗集客
- 【Web】 Googleビジネスプロフィールで基本情報を伝える
- 【SNS】 LINEでクーポン発行やセールのお知らせをする。ビジュアル訴求する場合はInstagramも活用する
- 【紙媒体】 折込チラシやポスティングチラシ、店舗からのDMを送る
- 【店舗内・街頭】 ディスプレイや接客で他店と差別化を図りリピーターを増やす
電子チラシを導入したスーパーの成功事例
大阪を中心に展開する某スーパーマーケットは、チラシ・オウンドメディア・Googleビジネスプロフィールで集客していましたが、競合店との差別化に悩んでいました。そこで、電子チラシを導入したところ来店率が30%増え、チラシと連動した店舗内のポップで売上もアップしました。
ヘアサロンの店舗集客
ヘアサロンの集客はポータルサイトが王道ですが、広告費やクーポンなどで客単価が下がる側面もあります。ポータルサイトへの依存度を下げるためには、技術力・店の心地よさ・スタイリストとの相性など、使ってみなければ分からない部分を目に見えるように伝えていくことが大切です。
ヘアサロンの店舗集客の組み合わせ例
- 【Web】 Googleビジネスプロフィールで基本情報を伝え、ポータルサイトで認知してもらう
- 【SNS】 Instagramで仕上がりを見せるだけでなく、店舗の心地よい雰囲気も発信する
- 【紙媒体】 メニューや店の特徴を伝えるチラシを近隣へポスティングする
- 【店舗内・街頭】 店舗ではポイントカードの活用、街頭では野立看板や電柱看板でアピールする
紹介カードを活用したヘアサロンの成功事例
関東にある某ヘアサロンは、紹介カードの渡し方の工夫で毎月10人以上の集客に成功しました。具体的には「お客様と同じような悩みを持つ方に渡してください、私が綺麗にします」など、渡す先を特定する方法です。既存客の体験談は説得力があるため、来店数増加につながるのです。
店舗に合った方法で集客を成功させよう
本記事で紹介したように、集客には多くのアイデアがあります。どのような方法が効果的であるのかは、業種やビジネスモデル、エリア、ターゲットなどによって異なります。そのため、分析やターゲットの絞り込みなどをおこない、店舗にマッチした方法で集客を成功させましょう。